「ローマ人の物語 34 迷走する帝国[下]」
塩野七生著、新潮文庫、2008
「終わりの始まり」「迷走する帝国」この一連は、とてもためになりました。どうしてダメになっていくのか、ということにも様々な事象があるということを知りました。特に「迷走する帝国」に描かれている皇帝たちには同情を禁じえません。
皇帝を終えるということが「死」を伴う仕組みになっていることにも因りますが、組織が衰弱しているときに何が起きるものなのかということが描かれています。皇帝の交代劇は、元老院でさえ介入できないところで勝手に行われていく様は、まさに密室での出来事と言えるのではないでしょうか。
ですから、市民は置いてけぼりです。ますます無関心になります。そして、自分の保全のみを考えるようになります。同時に、皇帝を皇帝させる話が側近たちの事情に因るものであったりするのが哀しい。自分の身の危険を覚えるというのが理由で皇帝が殺されます。
塩野さんは、膨大な資料を読み、膨大な歴史書を読み、長年イタリアに住み執筆されてきました。ですから、もはや視座は達観されているように思いました。「しょうがなかった」部分を冷静に見つめているように思いました。そして、それを理解しつくしているようにも思いました。
続巻に進むかどうか迷いましたが、一度、中断します。読み始めた本を終えるときに、ローマに戻るかどうか判断します。
posted by KAZZ Satoh at 10:44|
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