「世界まちかど地政学」
藻谷浩介著、毎日新聞出版刊、2018
メールでお知らせが届きました。藻谷さんの新しい本がでることを。そして、読むわけですが、さすが藻谷さんだと思います。日本国内のほとんどを巡り。その上、表紙にもありますが世界90ヵ国を訪れた人だからこそ表現されている視点があります。藻谷さんの講演を何度か聴いて感じるのは、実感があることを膨大なデータで補って語っていることです。多くの人は逆に思うかもしれませんが、ぼくは、藻谷さんは「旅」が最初だったと思っています。旅したことで沸き上がってくる疑問点や、知りたくなることを解明するためにデータを漁ってきた習性が、現在の藻谷さんをつくったのだろうと思っています。
日本の幾つかの国際問題は、必ず相手の国の事情を体感した上で語ります。また、戦争を国の運営という視点から見つめ、得にならないと説きます。かつての戦争の反省を踏まえれば、戦争は国益面からは行うべきではないものとのことです。しかし、それでも戦争が起きるのは、損得勘定とは別の事由があるからと言います。このような視点をマスコミに属する方々や文学好きの方々は、どのように捉えるでしょうか。興味を覚えました。
この本を読んで、突拍子もないかもしれないことを感じました。藻谷さんと塩野七生さんは似ているかもしれない、と。それは、現地に行って、その空気を読み取ってから文章を書かれるところでしょうか。「行ってみると分かることがある」ということを、ご自身の軸にしているように思います。行かずに描くべからず、とも思っているのではないでしょうか。正しい姿勢なのだろうと思いました。
ということで、塩野さんの著書に手を付けています。以前に古書店で手に入れた「聖マルコ殺人事件」です。