「100分 de 名著 オルテガ 大衆の反逆」
NHKテキスト、2019年2月
100 de 名著は毎回観ていますが、テキストを買うことは稀です。オルテガの「大衆の反逆」は第1回目の放送を観たときからテキストを買うことを決めました。テキストを読んだのはオルテガの回が終わった後となりましたが、それでよかったと思います。放送の内容とテキストの内容が完全一致ではないので、その差異を理解するには自分にとっては、これでよいと感じています。
「大衆の反逆」一冊をちゃんと読むべきだろうと思いましたが、おそらくそれだけではダメだろうとも思いました。講師の中島さんが言う「保守」の在り方が理解されていないと、誤読をしてしまうと思うからです。よって、自分には、このテキストが丁度よいのだと思いました。
オルテガは当時のヨーロッパとスペインの動向を思って国の在り方、政治の在り方などを憂いています。しかし、街くらいの規模での人々の物事の決定の仕方などを思い返すほうが、自分にはリアリティがあります。オルテガと中島さんは「大学教授たちほど大衆だ」というようなことを書かれていますが、自分には「受験戦争を勝ち抜いた人たちほど大衆だ」と置き換えられるような気がしてきました。インテリやエリートたちほど、本来備えるべき「教養」の偏差が大きくなっているのではないか?などと思いました。このような見方そのものが偏見なのだと、一方で思いながら。
「大衆の反逆」を読むことをためらったのは、オルテガが用いる言葉の意味が腑に落ちるかどうかが難しいと思ったからです。オルテガが言う「大衆」や「貴族」は、カッコを付けて読むようにしないといけないと思いました。今から90年くらい前にスペインで書かれた本です。当時のほうが「貴族」という言葉が持つ意味が、今よりも十分に理解されたのだろうと思いました。と、同時に今よりも誤解をされたのかもしれない、とも思いました。
2回読みましたが、まだ足りません。読んでいない本が溜まっているのに、再読リストも溜まっていきます。こうして平成が過ぎていきます。
posted by KAZZ Satoh at 11:09|
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