「野田哲也展」
パレット柏内の柏市民ギャラリーにて、世界に名が知れ渡っている版画家の展覧会がありました。野田さんは柏市に在住で、東京芸大の名誉教授です。大栄美術館に。。。あれ、大英だ。大英美術館に作品が収蔵されているという方です。
パンフレットになっている作品は、もう一つの作品と合わせて鑑賞するのがよいと知りました。なぜなら、写真にあるのは野田さんの奥さんの家族の写真。もう片方は、野田さんの家族の写真です。国際結婚をした夫婦それぞれの家族写真ですから一対で観ることが大切です。
野田さんの作品は、木版画とシルクスクリーンを組み合わせた手法で独自のもののようです。作品から漂う雰囲気は「日本」だと思いました。それはイデオロギー的な意味ではなく、風土的な意味です。何を言っているのか分からないような話ですが、日本という気候風土で生まれ育ち、そのまま表現したらこうなってしまうのだろう。というようなことを思ったという話です。日本字であることを表明するための表現ではなく、自分に忠実になった結果が日本の風土を体現したことになった、ということを勝手に思いました。野田さんがどのようなことを思って作品を作っているのか、野田さんが書かれた文章をよんだことがありませんのでさっぱり分かりませんが、そんなふうに見えました。
ところで、何かを発信しようと思わず、主義主張を誇示することなく、自分自身が成しえるものをそのままに表出するということが敵うものでしょうか?おそらく、そうなってしまっているものは長い歴史のなかで幾つも生まれたに違いありません。しかし、それは、それであるがゆえに危険かもしれないと思いました。オソロシイ存在に見えるかもしれません。