2020年09月28日

まちづくり関連本、など 1759 塩野七生

ローマ亡き後の地中海世界4_R.jpg

「ローマ亡き後の地中海世界-4」
塩野七生著、新潮文庫、2014

決して痛快な話ではありません。むしろ悲痛な話題が多いのではないかと思いながら、読み進めてしまいました。この本に出てくる言い方に倣うならば、ガレー船で進むかの如く読み進めてしまいました。

3巻まではモヤモヤしながら読んでいましたが、最後の巻になって、これは失敗の見本市だと思うようになりました。野村克也さんの言葉に「負けに不思議の負けなし」でしたか、そのような意味内容のものがあったと記憶しています。キリスト教諸国がイスラム系の海賊や、海賊から成長した海軍に太刀打ちできなかった理由。そして、逆に制圧できた理由。それぞれに見え隠れする「失敗」と「挽回」などの入り混じりは、いつの時代でも参考になるのだろうと思いました。

これを読んで、海洋国家のダブルスタンダードな感覚を興味深く思いました。キリスト対イスラムという布陣で戦いながら、貿易は淡々と行っています。ジェノバは北アフリカに鉄製のものたち=武器や防具を輸出していたそうです。もし輸出していなかったら、相手の戦力は落ちます。しかし、ジェノバは食っていけません。ヴェネツィアばかりエコノミックアニマル的に揶揄されているような気がしていましたが、それはシェークスピアのせいなのかもしれません。

塩野さんは、人が歴史を動かすこともある。というようなことを書かれます。歴史学者ではないことをメリットとして、人を描こうとしているのだと改めて思います。上手くいったことも、その逆も、人々の奮闘ぶりが影響を及ぼすことは「まちづくり」に関わっていたのでとても分かります。システムだけでコトが為されるものではありません。使いこなせなければ負けます。システム以上の活動が為されれば、予測以上の成果を得られます。

今日から「ビザンツ帝国」(中谷功治著、中公新書)を読み始めました。「海の都の物語」はヴェネツィアから見たもの。「ローマ亡き後の地中海世界」はほぼ同様の時間の流れを地中海の中心から見たもの。と、塩野さんは書かれていますが、「ビザンツ帝国は」それをコンスタンティノープルに軸足をおいて眺めるものになるのでしょう。
posted by KAZZ Satoh at 16:26| Comment(0) | 関連モノ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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