2017年10月11日

まちづくり関連本、など 1407

Aランド 5.JPG

「ランド5」
山下和美著、講談社、2017

待っていました。そして、それまでの話が分からなくなっています。「この世」と「あの世」が出てきてしまったので、ますます大変です。

この漫画は何を語ろうとしているのでしょうか?SFの体裁で。様々な寓話が頭のなかに浮かびます。文字を知るということ主人公に語らせることで、何を再発見させようとしているのか。「分かる」ということを、今後、どのように描こうとしているのか。

なんとなくですが、ぼくは著者が一生懸命に悩みながら描いているような気がしています。それが気になってしょうがないのかもしれません。物語の展開よりも。

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2017年10月04日

まちづくり関連本、など 1405

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「アクティビティを設計せよ!」
小嶋一浩編著、彰国社、2000

この本をブログで取り上げていないことに気がつきました。設計事務所に勤めていたときに一生懸命眺めていた本です。このような記憶が残るものは、自分にとって大事な本となります。読みとりが浅かった箇所もあります。理解が難しいと思ったこともあります。ですから、いつまでも心に引っかかっています。

このような本は、いつまでもテキストとして大事にされるのだろうと思いました。よい企画だと思いますし、編著の小嶋さんは編集の面でも長けた方だったと改めて感じます。

さて、自分も手を動かさなければなりません。
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2017年09月28日

まちづくり関連本、など 1404

A読み解き「般若心経」.JPG

「読み解き『般若心経』」
伊東比呂美著、朝日新聞出版、2010

この本は、大同生命のPR誌で紹介されていて、それに応募したら当たったものです。出版が2010年となっていますが、おそらくその当時に頂いたものです。あれからずっと書棚にありました。しかも目に留まるところにありました。しかし、一度も開くことができませんでした。

このたび、ようやく本を読む気持ちになりました。父の納骨法要が終わったからかもしれません。タイトルに「般若心経」とありますが、他のお経や偈についても書かれています。読み始めて理解しましたが、これはエッセイでした。伊藤さんの家族や友人の生き死にに関わる内容が綴られていく中で、お経などがひとつづつ取り上げられ、伊藤さんなりの「誌」に置き換えられていきました。

たぶん読む気になれたのは目次に「観音経」という文字を見つけたからかもしれません。うちの墓がある霊園をまとめているのは真言宗豊山派のお寺です。うちは曹洞宗です。納骨は、霊園のお寺にお願いしました。そこで「観音経」を読みました。納骨の際は「般若心経」でした。両方の意味を知る機会が訪れたと思いました。

果たして、読むべくときに読んだのだろうと思いました。そういう年頃になったのだろうと思いました。伊藤さんの直球過ぎる書きぶりにも、ちょっとした距離感を覚えながら引きずることなく読んでいました。エッセイなので堅苦しいものではありません。お経の意味合いが柔らかく伝わってきます。しかし、伊藤家の様々なことが重くのしかかってきます。結局は、生き死にを考えるということは、重しがひとつずつ増えることなのかもしれません。
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2017年09月27日

まちづくり関連本、など 1403

Aぼくんち(全).JPG

「ぼくんち(全)」
西原理恵子著、小学館、2003

古本屋でうっかり見つけてしまいました。冒頭部分を立ち読みしてしまったので、買わずにはいられなくなりました。凄い漫画だと思いました。絵はほのぼのとしているように見えますが、内容はディープです。よくも、このような世界を淡々と描けるものだと感心してしまいましたので買いました。

なんだか、とても強力な本だと思いました。どんなに偉い人が地球平和を謳っても、この一冊にはかなわないのではないかと思いました。そのような大それた内容ではないのですが、どのような文学作品も太刀打ちできない強さがあるように感じます。思い込みがすぎるでしょうか。

西原さんの半生をよく知りませんが、この漫画に描かれている内容はリアルなのだろうと思いました。誇張や無理矢理な創作なないのだろうと思いました。だから、強いし、怖い。
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2017年09月19日

まちづくり関連本、など 1401

A生物と無生物のあいだ.JPG

「生物と無生物のあいだ」
福岡伸一著、講談社現代新書、2007

2017年3月に47刷です。凄い数字だと思います。10年間での数字です。読み終わって、納得しました。これは、良書だと思います。10年間読み継がれるものを「良書」というらしいです。100年読み継がれるものが「名書」というらしいですが、100年読み継がれるものではないかと思いました。

福岡さんの実体験と思考を束ねたエッセイですが、ご自身の研究者としての成長と研究内容の解明が二重螺旋に組み合わさって綴られます。見事な文章だと思いました。時間に余裕があれば再読したいと、読み終わった途端に思いました。

研究者の道に進むことを考えている若者たちが必読すべきものかもしれません。研究者という仕事は、分野が異なれども共通する部分があろうかと思います。研究室は「工房」です。徒弟関係の社会です。その窮屈かもしれない環境のなかで泳ぎ切らないといけません。仮に、ボスが嫌なヤツでも一生懸命頑張らないと浮かばれません。

本編がよいのですが、エピローグがさらによいです。松戸で小学生のころを過ごしたそうですが、1960年代から70年代のころの千葉県北西部の風景が見事に描かれているように思いました。それは、自分が同じような時期に柏で育っているからです。
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2017年09月11日

まちづくり関連本、など 1399

A日経アーキテクチュア 170824.JPG

「日経アーキテクチュア 170824」

日経アーキテクチュアを取り上げるのは、藤森照信さんの特集だからです。小田和正と同級であるというのも武器にして表向きは飄々と生きているように思えるのですが、特集での対談で藤森さんのスタンスが見えてくると、建築史の研究者の立場で設計に挑む姿勢に感嘆します。

路上観察学など行動も建築学会的には奇異に映るでしょう。そのようなしがらみに関係ない人々にとっては、とても面白い活動に見えたでしょう。その振れ幅が特異です。なかなかアカデミックな立場でお遊びと映るようなことを堂々とはできませんそちらで評判になれば、かえって研究稼業に影が差します。

しかし、これからは藤森さんの視座がもっともっと重要になるのだろうと思います。分野や階層を超えてしなやかに行き来する心もちが大切です。そうなると、よい学校に行くためだけの勉強をしていては上手くいかなかうなります。別な「育ち」を自分で用意しなければなりません。
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2017年09月08日

まちづくり関連本、など 1397

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「スティーブ・ジョブズ 6巻」
ヤマザキマリ著、ウォルター・アイザックソン原作、講談社、2017

これで完結です。ひとつ気にかけていたものが片付きました。読了後に真っ先に思ったことです。漫画になるまでは、それほど興味はありませんでした。マックのほうがウィンドウズより優れているのだろうと思っていますが、自分の仕事の関係上、ウィンドウズを使っています。ですから、ジョブズの物語を読んでもなあ、と思っていました。しかし、気がついたのは、それ以上にビル・ゲイツの物語に興味を覚えません。

ヤマザキマリが描いたから読むのですが、それはヤマザキマリが偏屈な人を偏愛しているからです。どれだけ変な人なのか確かめてみようと思いました。

おそらく、ものすごく版な人なのでしょう。そうでないと、これまでの製品は生まれていません。ノーベル賞などが授与されていもおかしくない人なのではないかと思います。20世紀末以降の世界を全く変えてしまった一人です。一緒に仕事はしたくありませんが、リスペクトに値する人なのだろうと思います。

たぶん、行き詰ったときに読み返すのだろうと思います。


付けたし。
この本にはバーコード表示がありません。くるまれていたビニールに付いているシールにコードがありました。このこだわりに驚きました。
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2017年09月07日

まちづくり関連本、など 1395

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「よくわかる!家相と間取り」
佐藤秀海著、X-Knowiedge、2016

知り合いの建設会社の社長から頂きました。家相を勉強してほしいということで。読んでみましたら、編集がうまのでしょう。とても分かりやすく書かれていることに気がつきました。家相の知識に乏しいと分からないことが幾つも出てきます。また、読み進めると前のページの内容が不明瞭になります。しかし、この本は読み返しも容易なので、助かります。

佐藤先生が説かれる家相の考え方は、これまで知りえなかったことが書かれています。鬼門などの方位だけでなく、住む人々の干支が示す方位や九星の方位などを重ね合わせて、その家族にとって最もうまくいく解を見つけようとします。
 これは、とても興味深いもので、同時に腑に落ちるものがありました。家族の誰かにとって良い間取りでも、別の人には上手くいかないものかもしれない。ということを知っておいた方がよいと思いました。

この本を頂けたことに感謝しています。
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2017年09月04日

まちづくり関連本、など 1392

Aローマ人の物語 38.JPG

「ローマ人の物語 38 キリストの勝利[上]」
塩野七生著、新潮文庫、2009

「キリストの勝利」という巻の「上」です。ローマ帝国を語る上で、このようなタイトルがつくということをヨーロッパ人たちはどのように受け止めるのでしょうか。興味があります。キリスト教徒の立場で塩野さんの描き方は、どのように映るのでしょうか。

「キリストの勝利」と題にしていますが、読んでみると、キリスト教が勝ち取った物語ではないように思います。当時の皇帝をキリスト教になびかせたということが勝利の根本だとしても、その後のキリスト教の拡大はローマ皇帝によるもののように思えます。これは、キリスト教徒からすれば偏見に映るかもしれません。しかし、自分には、そのように思えました。

このようなことを思いながら、ローマは自滅するべくして滅亡の道を歩んでいるのだろうと感じました。昨今、「民主主義の終焉」だったか「資本主義の終焉」だったか忘れましたが、そのようなタイトルの本があったことを思いだします。中途半端な思いだし方で恐縮ですが、今の時代を現わしているのであれば、時代の変革期を我々は体験しているのでしょう。ローマがキリスト教に変わっていく時代も似たような感覚に包まれていたのかもしれません。

キリスト教は民族を限定しなかった、と塩野さんが書かれていますが、それが勝利をもたらしたのでしょう。もっとも、それすらも積極的に選択したことというよりは、ユダヤ教との関係のなかで選択したことだっかもしれないように思えます。しかし、それが幸いしたと言えます。同じ神を崇めるものであれば、民族の区別は問わないわけです。民族の区別を問わない精神は、実はローマ的と思います。
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2017年09月01日

まちづくり関連本、など 1391

A建工50年 卒業生から見たもうひとつの建工50年史.JPG

「建工50年 卒業生から見たもうひとつの建工50年史」
芝浦工業大学建築工学科50周年記念事業実行委員会編、2017

2016年10月に記念式典がありました。そのときの対談と、OBたちによるテーマ別の鼎談が収録されています。読みごたえがあったのは、編集のなせるものだと思いました。興味深いのは、すべての対談がOBたちだけでまとめられていることです。

式典での対談はOBで芝浦の教員をされた方、他大学で教員になった方、初期のころの卒業生たちによるもので、「これまでとこれから」が話されました。その次の章は、歴代の卒業生たちが大学生活をどのように過ごしたかを語ることで、建築工学科をあぶり出そうとしたものです。大学側が綴る歴史だけでなく、学生側が綴る歴史をまとめています。

最後の章は、社会人のなり方にも様々なかたちがあることを示しています。これもよいです。建築系の学科を卒業した場合、就職先はどのようであるのか?50年の歴史で排出された学生の数からすると少ない人たちの紹介に留まりますが、それでも様々な職業についていることが分かりました。個人的に最も好きな対談は、市役所に勤めた方と市会議員になった方の対談です。役所に勤めることは想像できますが、議員になる人がいることに興味を覚えます。

この冊子は、学科に関係なく現役の学生が読むと良いのだろうと思いました。型にはまったルートを良しとしている人も、様々な仕事を省みる機会になるのではないでしょうか。
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2017年08月19日

まちづくり関連本、など 1386

Aローマ人の物語 37.JPG

「ローマ人の物語 37 最後の努力[下]」
塩野七生著、新潮文庫、2009

ローマ帝国が滅んでから「中世」が始まると思っていましたが、そうではないようです。コンスタンティヌスから始まるようです。「中世」とはどのようなことかよく分からないので、「ローマ人の物語」の後の物語も読む必要があるようです。

「暗黒の時代」と言われたでしょうか。中世は。そうだとすると、この巻に書かれていることを踏まえると宗教が政治と密接過ぎる時代は、新しい問題を引き起こしたということなのでしょうか。皇帝を人が選ぶのではなく神が選ぶことになるとはどういうことなのか。権力機構のシステムがどのように変化したのか。塩野さんはコンスタンティヌスの治世を著述しながら、繰り返し「ローマ的」でなくなることを語り掛けます。

宗教を批判的にみるのではなく、「非宗教的な視点に立って歴史を書いてきた」と本文にある通り、歴史に影響を与える要素のひとつという見方なのでしょう。著者がもっとも肩入れするのは「人」です。それは「非宗教的」であることとともに処女作から変わらぬ姿勢なのだろうと思いました。
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2017年08月14日

まちづくり関連本、など 1384

A陰陽師 玉手匣 7.JPG

「陰陽師 玉手匣 7巻」
岡野玲子著、夢枕獏原案、白泉社、2017


なんと完結編でした。捉えどころのないままに物語が進むと思っていましたが、大江山の鬼退治が終わりをむかえるあたりから怒涛の展開でした。ぐいぐいと力技で大団円を迎えた印象です。これはこれで凄いことです。

岡野玲子は、おそらく晴明を描きながら風土記や古事記の云われを解読してきたのでしょう。それぞれの逸話や現地取材から見えてくるもの、あるいは隠されたものを知ることで創作が拡がったのでしょう。夢枕獏の世界観を超えた、別の晴明の物語なのでしょう。夢枕獏ファンからすると面白くないかもしれませんが、アナザーストーリーをもっとも楽しんだのは夢枕獏かもしれません。

岡野玲子が漫画という手法を通じて描きたいもの、あるいは明らかにしたいものは何なのでしょうか。いにしえの感覚の発見と再興だけではないような気がします。読者である女性たちにむかってのメッセージが込められているのだろうと初めて思いました。女性のしなやかで、かつしたたかな強さを改めて認識し、様々なものと調和して生きていくために現代の思考だけでは足りないと感じているのではないでしょうか。

古代から伝わる様々な遺物に残されたメッセージを読み解くことで、現代をもっと楽に生きていけるようになるのではないかと思います。ただし、そのためには自分の感性を磨き、様々なことを知り、理解し受け止めていくことが大切なのだと思いました。岡野玲子の「陰陽師」が今でも人気だとしたら、晴明の魅力を借りた夢枕獏と岡野玲子のメッセージが長けているのでしょう。
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2017年08月09日

まちづくり関連本、など 1383

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「芸術新潮1708」

特集は「新・仁義なき聖書ものがたり」です。当然のごとく、執筆は架神恭介。これは買いです。文庫版「仁義なきキリスト教史」を読み終えた直後のタイミングでした。

エンターテインメントを芸術系雑誌が、このように取り上げることが面白いです。怒られないのかな?と、毎回思います。しかし、おかげで自分みたいな門外漢には有り難いことです。キリスト教のことを知る機会になるからです。分かっている人たちからは、こんなもので理解されたくないでしょうが、初めの一歩だと思っていただいて寛容にいていただければと思います。

他の宗教の経典のようなものを知りませんが、もしかしたら、分かりそうで分かりにくい内容。あるいは、様々に解釈できる内容。という共通点があるかもしれません。それがロングセラーの秘密かもしれません。
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2017年08月03日

まちづくり関連本、など 1382

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「居住空間デザインコース20年の歩みとこれから」
日本大学生産工学部建築工学科、2012

これは貴重な冊子です。非売品です。先日、宮脇檀展を訪れた際に頂いてきました。大学が建築を教える方法論は多岐にわたるものと思いますが、そのなかでもユニークなものだと思います。女子ばかりのコースを学科内に開設しています。ですから、表紙に書かれている文言「Girls,be,ambitious !」も意図が分かります。

大学という環境はどのようなものでしょうか。専門によって意味合いも変わるのでしょうが、建築は、特に意匠系は徒弟制度的な部分が良いほうに発揮される分野なのだろうと改めて感じます。教える側が魅力的でないといけません。自省しています。一応、非常勤講師なので。
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2017年08月02日

まちづくり関連本、など 1381

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「ローマ人の物語 36 最後の努力[中]」
塩野七生著、新潮文庫、2009

[上]がディオクレティアヌスでした。そして、[中]はコンスタンティヌスです。古代ローマの皇帝がキリスト教と関わる時代、そしてその少し前から「ヌス」系の名前をもった皇帝が多く登場します。この本にも過去をふりかえるかたちでハドリアヌスが再登場しますが、テルマエ・ロマエにも登場する皇帝も「ヌス」派です。これまでのローマ史に関わる方々は、おそらくこのような分類はしなかったでしょう。意味がないからです。

さて、話を本の中身に移しましょう。ローマ史を扱う研究者のなかには、コンスタンティヌスまででやめてしまう人が少なくないらしいです。それは、コンスタンティヌスからローマではなくなるからとのことです。政治の仕組みが変わり、信仰の面でもキリスト教を容認していく姿勢は、もはやローマではないらしいです。しかし、著者は「ローマ人」を描く物語を書いているので、「ローマ」でなくなっても「ローマ人」がいる限り書いているとのことです。

なるほど。著者の姿勢が明確に現れました。「国」を描くのか?「人」を描くのか?では、大河ドラマとやらは、何を描いているのか?テレビドラマや映画という手法は、何を描くのが適しているのか?そして、何を伝えたいのか?塩野さんは「人」を描くからこそ、時代がずれたことを同情します。この描き方のほうがフェアなような気がします。

「国」を描くことに主眼を置くほうが、登場人物に容赦ないのかもしれません。独断と偏見でしょうか。
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2017年07月26日

まちづくり関連本、など 1380

A建築十字軍.JPG

「建築十字軍」
ル・コルビュジエ著、井田安弘訳、東海大学文化選書、1978

ずっと本棚に眠っていたのですが、ひょんなことから読んでしまいました。ページに折り目がついている箇所が幾つもありました。ということは、一度読んでいたのでしょう。しかし、ちっとも覚えていませんでした。読んだことも覚えていませんでした。

副題に「アカデミーの黄昏」とあります。1932年にエコール・デ・ボザールの教授であるウムデンストックの後援が行われたそうです。そこで、コルビュジエたちの建築に対して批判めいた内容が天かいされました。それを知ったコルビュジエが反駁を行って書かれたのが本書です。

面白いのは、ウムデンストックもコルビュジエも自らを「十字軍」と名乗ります。つまり敵がいて、失地回復を挑もうとする両者だということです。フランスでは「十字軍」は善いものとして捉えられているのでしょう。現在のことは分かりませんが、少なくとも当時は。

この本が秀逸なのは、解説鼎談が掲載されていることです。翻訳者と建築評論家とコルビュジエの弟子による鼎談は、アカデミズムへの反抗の解説がとても興味深いものになっていました。コルビュジエの弟子である前川国男が登場するのですから、当時の様子が見えてきます。コルビュジェの剣幕文章よりも、はるかに面白いと思いました。


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2017年07月23日

まちづくり関連本、など 1379

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「GIANT KILLING 44」
ツジトモ著、綱本将也原案・取材協力、講談社、2017

東武アーバンパークライン柏駅構内で見つけました。こらえ切れずに買いました。電車内で読みました。船橋に着く前に読み終わりましたが、今回もいい話です。思わず感極まります。

44巻目ですが、まだシーズンが終わりません。それだけ、丁寧に試合の描写が成されていることになります。シーズンが終盤に近付いているから、なおさら一戦一戦が大事になってきます。このように丁寧に描写してくれるのは嬉しい限りです。

おそらく、他のサッカー漫画も同じように細かい描写が増えているのでしょう。自分が若かったら、幾つもサッカー漫画を読んで比べてしまったでしょう。そうすることで、この漫画の特異性を見出したくなったことでしょう。今は、これを読むだけで満足です。変わるものです。欲の在り方が。
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2017年07月20日

まちづくり関連本、など 1377

Aローマ人の物語 35.JPG


「ローマ人の物語 35 最後の努力[上]」
塩野七生著、新潮文庫、2009

[上]を読み終えて、著者が「最後の努力」とした意味が理解できます。だれもが一生懸命に仕事をしています。その時代その時代にやれるものを精いっぱいやっています。それでも、上手くいかないときはどうにもならない。ある面では上手くいくものが、別の側面ではこれまでの佳かったものがなし崩しになっていく。そして、自分たちでも気がつかない崩壊を招く。その様が丁寧に描かれています。

塩野さんの眼差しは、おそらく常に冷徹でしょうが優しいのだと思います。国の歴史のバイオリズムと統治者たちの能力と努力を掛け合わせたときに見えてくるものが、仮にもっとも酷いものだとしても許す眼差しを持っているように思います。

ディオクレティアヌスが[上]の主人公ですが、個人の能力に関しては評価しているのでしょう。著者は。しかし、人間性というか、一人の男としての評価はいかがでしょうか。ディオクレティアヌスはシステマティックに構築するのが好きだったようですが、まるで理系の人間の感性のようです。そして、築き上げたシステムの完成度を高めることで自ら墓穴を掘るようなところは、個人的には共感する側にいます。

統治者が時代を作りそこなうのでしょうか。それとも時代がそのような統治者を選ぶのでしょうか。ぼくには後者の差配が大きく影響しているように思えます。


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2017年07月17日

まちづくり関連本、など 1376

A国立西洋美術館.JPG


「東京発の世界文化遺産 国立西洋美術館」
山名善之著、Echelle-1、2016

これを手に入れたのは、「無限成長美術館」というキーワードが分かっていないことと、当時の図面が収録されているからでした。

る・コルビュジェは「無限成長」という思想があったようです。難しい本を読みたくなかったので避けて生きてきましたが、なんとなく、それではまずいような気がしたので手に取りました。これは、建築が竣工したときに建築生命がフリーズするのではなく、その後の時代の変化に柔軟に追随できる仕組みを考えた結果なのだろうと、拙い知識で理解しました。建築は永遠でありたいと思ったのでしょう。そして、永遠の在り方は、完成したかたちにあるのではなく、変化し続ける姿にあるのだと考えたのでしょう。

図面は、もっと「力」を認められるべきものだと思います。手描きの図面は、現代だからこそ展示する必要があります。そこからあふれ出る熱意や愛を開示すべきだと思います。ですから、その片鱗でも感じられるものを見つけると手に取ってしまいます。



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2017年07月13日

まちづくり関連本、など 1375

A望星1706.JPG

「望星1707」

東海大学が出版している雑誌です。こういうものがあることに驚きます。自分の出身大学では、お目にかかったことがありません。もっとも、自分が知らないだけかもしれません。

なぜ、これを読んだかと言うと、「本まっち」が紹介されているからです。それを教えてくれたのは法制大学の先生でした。そして、その方の奥様で学芸出版の方が、「軒先慕情」のテーマを勧めていました。京都のことも書かれています。建築的にも興味深い話がありました。

しかし、それよりも面白く読んでしまったのは、昭和異聞という連載でした。「おじさ」と「おばさ」とあります。このようなテーマを取り上げて、真摯に検討する姿勢に好感を抱きました。また、「浪花音楽談義」も面白かったです。

よい雑誌をつくられているのだなあ、と思いました。このような雑誌が育まれる大学を羨ましく思いました。
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