2017年06月19日

まちづくり関連本、など 1364

A国立西洋美術館1959.JPG

「国立西洋美術館 1959」
国立西洋美術館編、2016

副題が「写真で振り返る創建時の本館」です。このように書かれているだけで、買うことを決めました。現在の姿は、創建時を様々なところが異なります。別館ができたことや免振工事がなされたことよりも、大きく異なる部分が幾つもあります。それを確認してみたいと思いました。というか、もっと早くに知っておくべきものでした。

創建時の写真をみると、とてもすっきりとしているように感じます。それは、写真の撮り方のせいかもしれませんが、なんとなく今よりも凛としているように思えました。たぶん、60年前は「きれい」と素直に思ったのではないでしょうか。

自分みたいな無知な輩でも毎年のように西洋美術館に足を運ぶので、この成果は実はコルビュジェの弟子たちによるものだと理解するようになりました。出来上がりに込められた魂が感じられると思うのは、かぶれすぎでしょうか。

何度もページを開きたい本です。
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2017年06月17日

まちづくり関連本、など 1363

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「地平線の相談」
細野晴臣・星野源著、文芸春秋社、2015

思ったよりも早く読み終わりました。その要因は、東武アーバンパークラインです。少し前までは「野田線」と呼ばれていましたが、アーバンパークラインにすり替わりました。北大宮まで行き、大宮から柏へ戻ってきました。往復で約2時間強。とても、楽しい時間となりました。

細野さんは、長屋のご隠居だと思いました。そして、宇宙人から縄文人へつなぐ役割を果たしているのだと思いました。星野さんのことは、いくつかの著作を読んでいたので新発見は少なかったように思いました。しかし、対談するだけあって、お二人の波動が連動していることに驚きました。羨ましくも思いました。

細野さんの受け答えの中に名言的なフレーズがいくつかありました。読んでいる途中で傍線を引こうかと思いました。なかなかに素晴らしい本です。一家に一冊あってもよいかと思います。我が家には、なぜか二冊あります。
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2017年06月14日

まちづくり関連本、など 1362

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「旅する力」
沢木耕太郎著、新潮文庫、2011

副題に「深夜特急ノート」とあります。古本屋で見つけたときは、これは読むべきなのだろうと思いました。出会いましたので、買いました。そして読み終わりました。

これは、深夜特急を読まれた方はぜひ、読むとよいでしょう。装丁も同じ仕様です。これも含めてセットです。「ノート」とある通り、楽屋落ちの話です。作品となった紀行文の裏話が分かるということは、作品そのものの理解がより深まるということです。

この本を読んで改めて思ったのは、根が自信家なのだろうということです。このような育ちをした方は、強いと思います。では、どうすれば、このようになれるのか。たぶん、子どものころからチャレンジをしていて、失敗も沢山しているのでしょう。そして、本にも書かれていますが、何でも食べられる体質であることが最大の要因ではないかと思うに至りました。

阿保みたいな結論ですが、これは重要なことだと思います。
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2017年06月09日

まちづくり関連本、など 1361

Aえじえじえじじえ.JPG

「えじえじえじじえ」
佐藤可士和・谷川俊太郎著、クレヨンハウス、2017

新聞の下段の本の宣伝蘭で見かけたときは「じぇじぇじぇじぇ」と書いてあるかと思いました。
しかし、だんだん目が慣れてきましたので、注文することとしました。
中味を知りもしないで注文したのは、作者を信頼しているからではなく、どんな仕上がりでも持っていた方がよいだろうという思いからです。

果たして、半分はイメージ通り。半分は、ちょっと期待外れでした。「じえじえ」は「字絵字絵」であることを分かってくると、赤ちゃんへの呼びかけは字も絵も区別なくと言うことだろうと納得します。

そうか、もっと温度が高いものを期待していたのかもしれません。思いのほかクールだったのかもしれません。山下洋輔と元永定正のもののほうが面白いと思ったようです。何が違うのでしょうか。リズム感でしょうか。絵の雰囲気でしょうか。よく分からないので、今は温度と思うようにします。
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2017年06月07日

まちづくり関連本、など 1360

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「健康で文化的な最低限度の生活(5)」
柏木ハルコ著、小学館、2017

待望の、という枕詞をつけたいほど待っていました。ずいぶんと待ったような気がしています。正確なところは、前巻は9月だったようですので、9ヶ月くらいと言うことになります。

この漫画は、現実をなるべくそのまま描くようにしているのだと思います。救いがない現実も含めて。どこにも正しさがあるわけではないです。しかし、何とかしなければならない現実から目を背けている訳にもいきません。市の職員と生活保護を受ける当事者や家族だけでなく、アパートの大家さんや隣の部屋の人たちなど、それぞれの日常と現実があります。そのようなことを丁寧に描こうとされているように思います。

生活保護という制度の難しさをそのままに描いて見せてくれています。だからこそ、衝撃な現実を知ることになるのだろうと思います。読んでいて辛いのは、主人公が新人なので解決が上手くないところでしょう。モヤモヤばかりが募ります。そのような性格の主人公なので、ひとつの案件が手を離れて行ってもスッキリとすることが少ないです。人生はそういうものなのでしょう。

これは、やがてドラマになるのだろうと、ふと思いました。深夜の枠で。
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2017年06月02日

まちづくり関連本、など 1358

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「倫理21」
柄谷行人著、平凡社ライブラリー、2003

実は2冊目です。先日、上野でのスケッチ演習がありましたが、その後の打ち上げで無くしました。挫折していたのを復活させて、もう少しで読み終わる。というところでした。仕方がありませんので、購入して読み終えることができました。いつ買ったのかも忘れています。しかし、おそらく10年以上経ってからの読破ということになります。

読み終えて分かったことは、自分がなにを分かっていないかということでした。著者が採りあげたテーマは「戦争責任」です。それを「倫理」という切り口から解明していくというものです。ただし、著者も書かれていますが、カッコに括った意味合いでの「倫理」です。一般的に用いられている感覚での意味合いとは異なることを、最初に述べています。哲学や思想の話に関わるときに、最も大事な姿勢であることを改めて理解しました。そして、自分が若いころにできなかったことのひとつです。カッコで括れた意味合いで語られることについていけなかったことが分かりました。

今回は、「分かる/分からない」をカッコに入れました。つまりは、分からなくても読破する。読み終えた後で分からなかったとしても良しとする、という姿勢です。それによって読破が敵いました。
 しかし、そのおかげで知りえたことがあります。海外から見た「戦争責任」の在り方は、国内だけをみた「共同幻想」の論理では解けていないということです。ここで著者は構造としての天皇制の話やドイツやイタリアでのことを比較します。
 また、マルクスを端とする共産主義についても語ります。それは、ロシア革命や中国でのこと、そして戦前から戦後での日本でのこと。日本で起きた「転向」と「非転向」にまつわる強度のことなどなど。難しい言葉を使わなくても分かるのは、獄中で耐えた人々に対しては敬意を払わない訳にはいかない感覚になるということです。しかし、著者は鋭くというか、厳しく詰めます。耐えて生き延びたことの凄さと、考えていたことのそうでもないことを分けて考えます。これが凄いと思いました。

昔に読んだ本を思い出しました。著者はマルクスのことを語っていましたが、「運動」や「革命」でのことと「マルクス」そのもののことを混同せずに分けて考えるというようなことを思い出しました。これを飛躍して考えると、宗教の在り方を考えるのに有効なのだろうと考えたことも思い出しました。

思ったより、いろいろと書けるものだと自分で感心しますが、これで終わりにします。この本を「今」読み終えたことは、おそらく自分にとって大事なことなのだろうと思います。
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2017年05月26日

まちづくり関連本、など 1357

Aローマ人の物語 34.JPG

「ローマ人の物語 34 迷走する帝国[下]」
塩野七生著、新潮文庫、2008

「終わりの始まり」「迷走する帝国」この一連は、とてもためになりました。どうしてダメになっていくのか、ということにも様々な事象があるということを知りました。特に「迷走する帝国」に描かれている皇帝たちには同情を禁じえません。

皇帝を終えるということが「死」を伴う仕組みになっていることにも因りますが、組織が衰弱しているときに何が起きるものなのかということが描かれています。皇帝の交代劇は、元老院でさえ介入できないところで勝手に行われていく様は、まさに密室での出来事と言えるのではないでしょうか。
 ですから、市民は置いてけぼりです。ますます無関心になります。そして、自分の保全のみを考えるようになります。同時に、皇帝を皇帝させる話が側近たちの事情に因るものであったりするのが哀しい。自分の身の危険を覚えるというのが理由で皇帝が殺されます。

塩野さんは、膨大な資料を読み、膨大な歴史書を読み、長年イタリアに住み執筆されてきました。ですから、もはや視座は達観されているように思いました。「しょうがなかった」部分を冷静に見つめているように思いました。そして、それを理解しつくしているようにも思いました。

続巻に進むかどうか迷いましたが、一度、中断します。読み始めた本を終えるときに、ローマに戻るかどうか判断します。
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2017年05月17日

まちづくり関連本、など 1354

Aローマ人の物語 33.JPG

「ローマ人の物語 33 迷走する帝国[中]」
塩野七生著、新潮文庫、2008

いよいよ迷走が露わになってきました。そして、キリスト教徒の影も濃くなってきました。おそらく、ローマ軍団に対するなんとなくの嫌悪感のようなものは、キリスト教社会になった後のヨーロッパやアメリカの感覚がアジアの極東にまで影響を与えているのだろうと思いました。

塩野さんは、当時のキリスト教に対しての態度は冷静だと思いました。日本人だからこそ、一神教の民族でないからこそ、古代ローマと古代ギリシャを宗教観の影響なく眺めることができるというようなことをエッセイなどで書かれていますが、相対するキリスト教に対して敵意を持っているようにも思えません。もともとルネッサンスから出発しているからかもしれませんが、宗教としてのキリスト教という観点ではなく組織が抱え込んでしまう体質を憂う観点で見つめているように思いました。

それにしても、「時代」という括りは言い訳になるのだなあ、と思いました。次の波動がどのようなものなのか?という視座でコトにあたることの難しさを感じます。エリートすぎると、過去に引きずられるようにも思われます。だからと言って、野生で勝負というのもナイーブすぎるように思います。

話は変わりますが、この「迷走する帝国」の巻ほど、皇帝たちに同情の念を抱く巻はないかもしれません。軍団の兵士たちに推挙されたことで皇帝になりますが、引きずり降ろされるときはあっけないものです。推挙されなければ長生きできたのに。そして、名将として歴史に名前を留めることができたかもしれないのに。
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2017年05月10日

まちづくり関連本、など 1353

Aローマ人の物語 32.JPG

「ローマ人の物語 32 迷走する帝国[上]」
塩野七生著、新潮文庫、2008

「危機」の性質(キャラクター)のちがいについて。と冒頭に書かれています。この言葉の意味は物凄く重いと思いました。歴史に学ぶ。と言われますが、学んだものを活用するときのやり方が肝心であることを痛感します。

この巻に登場する皇帝たちは、それぞれに有能なのだろうと思いました。歴史を勉強し、哲学を勉強し、よく覚えており、、、それを自分の治世に応用しています。しかし、冒頭の文章がすべてを語ってしまいます。過去と今は、必ずしも同じではない。今の状況を見据えた場合、過去の成功が活かされないことも起こりうる、ということが描かれています。

このような皇帝たちを知っているからこそ、塩野さんはユリウス・カエサルの素晴らしさを謳うのでしょう。シビリアンでもありミリタリーでもあるという性質を持ち得ることの難しさを教えられているのだろうと思いました。この巻に描かれている皇帝たちを知ると「時代が悪かった」ということはあり得る、と観念しました。
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2017年05月04日

まちづくり関連本、など 1351

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「シンプルの正体」
発行:ブルーシープ、2017

銀座松屋で開かれている展覧会の図録です。この本もシンプルです。最小限の言葉でまとめる努力をしたのでしょう。それでも、ディック・ブルーナの思想、あるいは哲学が伝わってきます。

マチスやデ・ステイルから影響を受けているとのことですが、ブルーナの思想は日本人には飲み込みやすいものではないでしょうか。日本人が培ってきた美的感覚はことどくシンプルに向かっていました。現在はともかく、かつてのそれは。

茶道。活花。浮世絵。俳句。短歌。シンプルな構成とそぎ落としの美学。そして間。空間の妙。絵本などの表現形態に目を曇らせてはいけません。「かわいい」の裏側に潜む深淵なる思考と美学を見つめる必要があります。

シンプルなものを造るための作業は決してシンプル(単純)なものではなかったそうです。何十枚もスケッチして、そぎ落としてシンプルさを突き詰めていたそうです。ですから、豊かな空間が見えてきます。
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2017年04月29日

まちづくり関連本、など 1350

Aふなのりのやん.JPG

「ふなのり の やん」
デジック・ブルーナ ぶん/え、まつおか きょうこ やく、福音館書店、2017

4月10日発行となっています。ブルーナさんが2月16日に亡くなったことを受けての発行なのでしょうか。よく分かりませんが、一冊買いました。テレビでブルーナさんが紹介された際に、どの絵本も同じ6色を使っているとありました。青でも黄色でも緑でも赤でも、微妙な変化をさせるということをせずに決めた色だけで構成しているとは、凄いことです。

その凄さを実感するためには、購入しなければならないと思いました。そして、柏の浅野書店に行き、何冊かあるなかから写真にあるものを選びました。分かりやすく言えば、ミッフィーを避けたのです。それは、自分が「うさこちゃん」の固定観念を外したかったからです。

見事だと思いました。もう何冊か、ほしくなりました。
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2017年04月28日

まちづくり関連本、など 1349

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「ローマ人の物語 31 終わりの始まり[下]」
塩野七生著、新潮文庫、2007

思ったよりも早く、読み終えることができました。おそらく、塩野節に慣れたのでしょう。この勢いで、次の巻に向かえそうです。

さて、読むペースは早まれど、ローマの憩いは下降していきますので、こちらの気分は高揚しません。ですが、とても参考になります。どうすれば下手を打つか、という視点において。[中]の巻でも書きましたが、見通しをどのように持つのか?ということは大変に難しいと思います。この巻で塩野さんは、おそらく本音だろうことを書いています。冷酷な者が生き残るというような意味合いのことを。

「善意」とは何なのでしょうか。「正しさ」とは何なのでしょうか。目の前の評価が気になりすぎると身を亡ぼすという事実は、教訓なのでしょうか。「終わりの始まり」では二人の皇帝が家族思いであったにも関わらず、その子供たちが兄弟間で争うことになったことが書かれています。家族のことと、経営のことが混同されると、このような悲劇に見舞われるということでしょうか。

では、後継ぎたちは何を考えていたのでしょう。何をしたかったのでしょう。何をできると思ったのでしょう。何をしなければならなかったのでしょう。自ら知り得ようとすればできないことはなかったのでしょうが、それはどのくらいなされたのでしょうか。ボンクラでもなんとかなると思っていたのでしょうか。それとも、自分は優秀であると確信していたのでしょうか。
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2017年04月27日

まちづくり関連本、など 1348

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「建築MAP大阪/神戸」
ギャラリー間編集、TOTO出版、1999

帯に「待望の」とかかれています。これが出版されたのが20世紀末。あれから10数年経って、ようやく活用することができました。3月31〜4月2日まで、神戸に滞在したからです。

一応建築関係に属しているので、出かけるからには「建築」をどのように眺めて来るかを考えます。家族旅行と言えども、通過するだけでも眺められればモウケモノと思うことにしています。

1999年に発売されているので、21世紀に入ってからの「建築」は紹介されていません。かわりに、すでに亡くなってしまった「建築」を知ることにもなります。できることなら、敢えて「1999年版」「2017年版」などと記して刊行を続けていただきたいと思いました。アーカイブという意味で。
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2017年04月26日

まちづくり関連本、など 1347

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「ローマ人の物語 30 終わりの始まり[中]」
塩野七生著、新潮文庫、2007

マルクス・アウレリウスから実施コモドゥスへの移行が記された巻ですが、こうやって浜悦へむかうのだと理解しました。

著者は一貫して「人」を描きます。「人」が何を考えたのか?何を考えなかったのか?なぜなのか?そして、何を決断したのか?しなかったのか?さらに、何を実行したのか?しなかったのか?できなかった理由はどこにあるのか?

塩野さんは歴史書を書いている訳ではないと思うようになりました。遅すぎる発見なのでしょう。多くの方は、すでに気がついていることなのでしょう。歴史に登場する「人」を解明していくことで、「なぜそうなってしまったのか?」を解き明かすことを延々とやっているのでしょう。ですから、そのような視点で読み直すと、とても興味深く思えます。

コモドゥスは、個人としては有能だったのか?もし、学校の成績がよいようなタイプであったとしたなら、足りなかったのは指導者の力量なのかもしれません。つまりは、親の甘さがローマを滅亡に導いているのだと思えます。

同じようなことは、現代の日本でも起こっているように感じます。国会のレベルの話から町会レベルの話に至るまで。町会や商店会が機能不全に陥っているのは、今から20〜30年前の方々の読みの甘さが指摘されるような時代が来るでしょう。その当時の方々への同情は起こりますが、責任は重大だと思います。町会や商店会に携わった方々だけに責任を求めるのではなく、実は自治体の長や担当者たちの力量が問われるべきだと思います。まったく何も考えてこなかったツケは、「ローマ人の物語」で解き明かされているのですから。

著者がコモドゥスを大いに避難するようでもないのは、責任が彼一人のものではないことを伝えたかったからでしょう。塩野さんの書き方で、いつも面白いと思うのは、登場人物の性格までを判断基準に加えているところです。ハドリアヌスは当時の元老院からは人気がなかったとのことですが、それでも我を押し通すことができた性格をも評価します。人に好かれないことも受け止められる性格や年齢、そして経験を積んでいたかどうかということまで天秤に載せます。ですから、そのような経験も素養も知識も持つには若すぎたコモドゥスに対しては「仕方がなかったね」という気分だったのではないでしょうか。
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2017年04月17日

まちづくり関連本、など 1346

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「ローマ人の物語 29 終わりの始まり[上]」
塩野七生著、新潮文庫、2007

久しぶりに再開しました。ローマ人の物語を読むには思い切りときっかけが必要です。今回は、それが巡ってきたと感じましたので読むことができました。この巻からローマの終末が具体的になってきます。ですから、この先を読み進めるのはしんどいものになるでしょう。その覚悟も必要です。

今頃になって思うのですが、塩野さんは日本でリーダーとなるべく人々へ向けて書いていたのだろうと思いました。文庫として出版された2007年よりも、単行本として出版された2002年よりも、2017年に読むことの方が身につまされるような気がするのは気のせいでしょうか。
 先代が盤石にすればするほど、次世代は「魂」の部分を引き継げないかもしれないことは、2000年も前に教訓としてあることを知ります。先代の時代と状況が異なるのですから、引き継げるものとそうでないものと生じるのは当然のことです。しかし、この29巻(文庫版)で読み取れるのは、継承すべきものは何か?という点です。

この巻に登場する皇帝たちは、水鳥が平然としている姿だけを見ていたのでしょう。水面下の足の動作は実践しなかったのでしょう。それをローマ人に当てはめるならば、ここに登場する皇帝たちが属州行脚をしていなかったことを意味します。
 しかし、これは彼らを責められるのかどうか?そのように育てられたのではないか?それこそが弱体化の始まりなのではないか?とうなると、時代がそのような選択をさせるのでしょうか?ローマは終わるべくして終わったのでしょうか?
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2017年04月06日

まちづくり関連本、など 1343

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「こんな街に『家』を買ってはいけない」
牧野知弘著、角川新書、2016

一言で言うと、何十年も前から言われていたことが現実になっているのだなあ。という印象を持ちました。「郊外住宅」という言い方でバッサリ切ってしまえないのですが、駅からバスで通うような住宅地に立つ住宅の行く末をどのように考えるのか?持ってしまった人として。あるいは、これから住宅を手に入れようとしている人として。さまざまな立場で、どのように考えればよいのか、というようなことを考えさせられます。

著者は、大手不動産会社に勤めていた経験などを基に、この本を書かれました。著者は「住宅を買う」と書きます。「住宅を建てる」とは書きません。不動産業者は流通側ですから、「建てる」というよりは「売買する」という感覚で読者に訴えかけます。一般的なニーズに応えるには、「売買」の感覚で話をするのがよいのでしょう。

しかし、建築の方面に佇んでいる立場としては、「売買」だけではなく「建てる」感覚で行く末を考える必要も感じます。「買う」感覚だけの人は、不要になったら「売る」ということでよいのかもしれません。しかし、愛着なりを持って「建てた」人たちは、「売る」という考えに頭が切り替わらないのかもしれません。そうでなくても何十年もローンを払ってきたという気持ちもありますから、簡単に「売る」という気持ちにはなれないでしょう。

それでも、頭を切り替えなくてはなりません。不動産が財産だという考え方を改めなければならないのは、今に始まったことではありません。バブルが弾けたと言われている四半世紀前からのことだったはずです。
では、「今」をどうしましょうか。それは、今からでも考え始めなければならないのでしょう。「買う」と「建てる」の言葉の違いを考えながら。
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2017年03月25日

まちづくり関連本、など 1340

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「GIANT KILLING 43」
ツジトモ著、綱本将也原案・取材協力、講談社、2017

他のサッカー漫画を読まないので、この漫画の特異性がどのようなものか考えたことがないのですが、やはりすごいと思います。日本のプロサッカーにまつわるあらゆることを取り上げながら、その上でサッカーそのものの魅力を描いていると思います。

日立台でボランティア活動に関わっているので、スタジアムの描き方が。これは、日立台がモデルと言うことではなく、プロサッカーの試合そのものの描き方という意味ですが、よく取材しているなあと思います。カメラマンが選手を写真に納めるときの感情が描かれていますが、写真に撮りたくなる選手がどういうものかをカメラマンが語ります。これは、写真撮影に興味ある人は共感するでしょう。サポーターの視点だけではなく、記者の立場、カメラマンの立場、試合に行かないけど街で店をやっている人の立場、または旦那が試合に行ってしまうので店から離れられない奥さんの立場。チーム・スポンサーの立場。などなど。

全てが描かれてこそ、プロスポーツというものの在り方が考えさせられます。
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2017年03月23日

まちづくり関連本、など 1338

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「都道府県の持ちかた」
バカリズム著、ポプラ社、2010

まず、ポプラ社から出版されていることに驚きます。児童書が主と思っている出版社が、このような本を出すことに嬉しい驚きを覚えました。

もしかすると、真剣に企画して辿り着いた答えなのかもしれません。どうすれば、都道府県に親しみを持ってもらえて、それぞれの概要を知るようになるのか。それが社会科だけでなく総合学習などに活かされていくのか。などを考えた挙句でしょうか。そうであれば、個人的にはなおさら嬉しいことです。

バカリズムの視点と絵が冴えています。思わず、なるほどと頷いてしまいます。そして、「各都道府県の持ちかた」を見ているうちに、それが都道府県ではないものに見えてくるところが不思議です。このような企画が増えると、世界は平和になると思います。

しかし、「持ちかた」ばかりみてしまい、概要やデータは素通りしてしまいます。ここが凡人であるところです。できる人は、ちゃんと概要やデータに目を通し、そこから更なる笑いのツボを探ることでしょう。
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2017年03月11日

まちづくり関連本、など 1337

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「マリー・アントワネット」
惣領冬美著、講談社、2016

「チェーザレ」を待ち望んでいる間に、このような本が出ていました。手に取らないつもりでいたのですが、魔が差しました。

しかし、面白く読みました。主人公が輝こうとする一時期だけを描くのは、とても良い企画なのだろうと思いました。ぼくはフランス革命について詳しくは分かっていないので、誰かが悪くて誰かが正義だということに疎いですから、この本に描かれた雰囲気をそのまま楽しみます。そして、一呼吸おいてから、無理矢理に「レ・ミゼラブル」に流れ着くことになります。

このように思うと、相当に激動だったのだろうことが、ようやく分かってきます。時代が変わるということは、このようなことなのでしょう。徐々に変わるときもあるでしょうが、真っ逆さまになるようなときもあるのでしょう。このようなことを物語を通して知っておくことは大事なことです。
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2017年03月07日

まちづくり関連本、など 1336

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「プリニウスX」
ヤマザキマリ+とり・みき著、新潮社、2017

この巻になってくると、主人公はプリニウスではなくボディーガードのフェリクスなのではないかと思えます。そのくらい個性が際立ってきました。主人公は博識であるがゆえに、更なる知識を追い求めます。書記の若者は、この巻に至っては従順なる服従者となっているように見えます。そうなると、主人公のイカレっぷりを読者に知らしめるのは、フェリクスしかいないのでしょう。

この漫画は、いつの時代も「科学」があることを教えてくれるとともに、それが時代の価値観によって構築されていることを教えてくれます。ですから、古代ローマの後にやってくるキリスト教世界観では見捨てられてしまうのだろうと予感させます。

このようなことを考えていくと「科学」でさえ儚いものに見えてきます。「絶対」といえるものは難しい状況の上に成り立っているのでしょう。
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