2020年10月22日

まちづくり関連本、など 1768 エコハウス

「一生幸せなエコハウスのつくりかた」
松尾和也、西方里見、伊礼智、三澤文子、前真之著、エクスナレッジ、2019

https://www.xknowledge.co.jp/book/9784767826349

改正建築物省エネ法が来年度から全面施行となります。どうしたものかと思っていたら、とても読みやすい一冊を見つけました。ここに紹介されている住宅たちは、どれも素敵です。そして、省エネ対策について、それぞれなりの解き方をされています。なかなかに参考になります。

この本によると、省エネ法で基準としている数値は最低限度のものであるとのことです。断熱材が分厚いのが当たり前。サッシは三重サッシや特殊ガスが封入されたガラス、ハイブリッドの枠が必需のように思えます。このようにすることで、建物内をエアコン1、2台でまかなうことが可能と紹介されています。全巻冷暖房は、かつて昭和40年代にセントラルヒーティングが流行りました。そのときの設備は大掛かりで、ボイラー室があり、各部屋に大型の空調室内機がありました。思えば、あのころは高気密高断熱への追求は関心が薄かったのかもしれません。

今は、低炭素化を目標としての住宅の在り方が中心です。生活において二酸化炭素排出量を極力抑えることを目指すことになりました。エネルギー消費の考えた方を変えていきましょう、ということだと理解していますが、生活を切り詰めろということではありません。この本に紹介されている住宅は、それぞれ快適ですし魅力的です。目指すべき参考例たちだろうと思いました。

高気密高断熱仕様の数々、エネルギーロスのない循環型の換気扇、太陽光発電の設備、エコキュートなどの給湯関係設備、外付けのブラインドなどなど省エネ対策の装置は様々です。それらの魅力や性能が外観できるのが有難いのですが、建設費に占める割合はどのくらいなのか?これまでの断熱等の仕様の住宅との建設費の差。それと、長い目で見たときのトータルコストがどうなるのか。などということは、この本では見られません。よって、自分なりに考えていくこととなります。
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2020年10月13日

まちづくり関連本、など 1764 いただきものたち

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「整理されるということで」

6月に頂きに上がりました。知り合いの設計者が新居に移転するにあたっての処分です。このようなものを頂きたくなるということは、自分にもなんらかの欲があるということです。それは、ちっとはマシになりたい。というものですが。

頂いてすぐに「ユルバニスム」を読みました。英語読みすれば「アーバニズム」となります。つまりは、都市デザイン論です。100年前の。これを早速読んだのは、槙文彦著の「アーバニズムのいま」を買っていたからです。先にル・コルビュジエの「ユルバニスム」を読んだと記憶しています。
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2020年10月12日

まちづくり関連本、など 1763 美村里江

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「たん・たんか・たん」
美村里江著、青土社、2020

新聞の書評で見つけました。著者は初心者とのことですが、文章は沢山書いている方とのことです。書評もされているということなので、相当な本好きな方なのだと思いました。ですから、短歌初心者といえども本になるだけの魅力を備えているのだろうと、思いました。

大胆な企画だと思います。短歌を長年やられている方が沢山いるなかで、初心者であることが魅力となるとは。短歌とエッセイで構成されていますが、この企画が立ち上がった経緯も紹介されています。青土社の編集の方に見初められたとのことですが、それだけの下地があるからなのだと読み終えて改めて思いました。

一番驚いたのは、ご自身にとてもまじめに生きている方だと思ったことです。この本にまとまるまで短歌を700作ったとのことです。巻末にすべて掲載されていますが、採用されて大きな活字になったものと、採用されなかったものを含めて全部が小さな活字であります。このような掲載の仕方はされないものでしょうが、美村さんの熱意というか備えている姿勢というか、そのようなものを示すには「700」という数の実相を紹介するのがもっとも明解だと思いました。恐れ入ります。

相手を納得させる力を持つ。ということはこういうことなのだろうと思います。美村さんが作られた歌の良し悪しを語ることはできませんが、このような作業ができるセンスと能力が凄いことだと、それは分かります。
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2020年10月06日

まちづくり関連本、など 1762 建築士

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「平良敬一さん追悼」

建築士会の会報に平良敬一追悼の記事がありました。雑誌「住宅建築」建築の編集の方というのが、この40年くらいの認識だと思います。自分が平良さんと会うことができたのは、今から35年くらいまですが、そのときも「住宅建築」の方でした。自分にとっては、大学の恩師や勤めた設計事務所が設計した建築を掲載してくれた雑誌。ということに留まらず、「エーゲ海・キクラデスの光と影」という本をかなえてくれた恩人のような方です。

大学の恩師が平良さんに持ち掛けたことで出版されることとなりましたが、平良さんは建築写真家を紹介してくれました。このときに、平良さんは「育てる人」なのだろうと思いました。様々な人に新しい機会を提供することも、編集者の仕事なのだろうと思いました。

「エーゲ海・キクラデスの光と影」という本は、ミコノス島とサントリーニ島を実測したものです。実測したものを図面化し掲載することが主たる目的でしたが、自分の能力の足りなさを通巻することとなった一冊となりました。この本のおかげで、いまでもエーゲ海世界に関心が向きます。それで、塩野七生の本を読み続けたり、ビザンツ帝国の本を読んだりしてしまいます。平良さんに「一生勉強しなさい」と言われているような気がしながら。

最後になりましたが、改めてご冥福をお祈りいたします。もう少ししたら平良さんの著書を手に取ってみたいと思います。
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2020年09月30日

まちづくり関連本、など 1761 山下和美

「ランド11」
山下和美著、講談社、2020

https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000344517

最終巻となりました。どのように物語が納まるのだろうか、と気になっていました。今起きていることは、自分たちが小さな決断の積み重ねの結果であるのだなあ、と令和の時代を思いました。今の世の中についての評価は様々だと思いますが、賛成の人も反対の人も誰もの小さな判断や決断の果てなのだと思いました。嘆いても仕方がない。という話ではなく、次に何かを為す上で、これまでのことを腹に納めて進むしかありません。

新型コロナウィルスの影響で街が大きく変わるのだろうと思います。うまく切り抜ける街があれば、その逆もあるのでしょう。何が違うのか?それは、その街の人々の個々の判断と決断なのだと改めて思います。街全体をリードする力強い「人」や「言葉」が現れないとしても、街の中のあるブロックは生き残るかもしれません。あるブロックがダメだとしても、あるお店や会社は生き残るかもしれません。そういうものなのだと思います。

「ランド」に話を戻しますが、自分としては高齢であろう双子の人生について、もう少し描いてほしかったと思いました。彼らがどのように育ち、この巻で描かれている出来事に遭い、その後はどうなっていったのか。別のかたちで描かれるでしょうか。それとも、若き双子のこれからが描かれていくでしょうか。どうやら、その後に繋がる双子もいるようです。

高齢の双子の物語があれば、「国」にしなかったことについても詳しく描かれるのだろうと思います。そこにも脅威を覚えました。新型コロナウィルスの影響は「国」という在り様を揺るがせているのかもしれない。とも、思ったからです。
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2020年09月29日

まちづくり関連本、など 1760 ツジトモ

「GIANT KILLING 56」
ツジトモ著、綱本将也原案・取材協力、講談社、2020

https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000344526

発売されていることを見失っていましたが、他の見失っていた単行本とともに購入できました。今回は辛いです。まさかまさかの展開でした。しかし、物語を紡ぐ人は凄いです。サッカー界で起こりえる様々なエピソードをどのように再構成するか。新しいドラマが生まれ続けるのは、いつの時代にも新しい語り部たちがうまれるからなのでしょう。

漫画の内容から離れていきますが、シェークスピアはそういうところが優れていたのでしょう。ロミオとジュリエットの魅力は、あの物語が短期間で起きていることにあると、聞いた記憶があります。

さらに離れていきますが、ジェットコースターの演出は物語を紡ぐ上で応用できるのでしょう。徐々に高みに持ち上げて、さらに高みをと思わせた瞬間がピークで、その後はどん底まで。ジェットコースターの場合は落下に伴うエネルギーがありますから、その後のスピード感あふれる展開がやってきます。ロミオとジュリエットは、それに近いものがあるのかもしれません。しかし、ジャイアントキリングの場合はどうでしょうか。思えば、主人公はときどきスランプに陥っていました。こんかいは克服できるのか?監督は、どのように再生させるのか。たぶん辛い展開が連載で続いているのでしょう。

それでも物語は、別なる希望を描いています。これまでなかなか登場しなかった選手たちの人生を描いています。こちらについては次巻が愉しみです。
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2020年09月28日

まちづくり関連本、など 1759 塩野七生

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「ローマ亡き後の地中海世界-4」
塩野七生著、新潮文庫、2014

決して痛快な話ではありません。むしろ悲痛な話題が多いのではないかと思いながら、読み進めてしまいました。この本に出てくる言い方に倣うならば、ガレー船で進むかの如く読み進めてしまいました。

3巻まではモヤモヤしながら読んでいましたが、最後の巻になって、これは失敗の見本市だと思うようになりました。野村克也さんの言葉に「負けに不思議の負けなし」でしたか、そのような意味内容のものがあったと記憶しています。キリスト教諸国がイスラム系の海賊や、海賊から成長した海軍に太刀打ちできなかった理由。そして、逆に制圧できた理由。それぞれに見え隠れする「失敗」と「挽回」などの入り混じりは、いつの時代でも参考になるのだろうと思いました。

これを読んで、海洋国家のダブルスタンダードな感覚を興味深く思いました。キリスト対イスラムという布陣で戦いながら、貿易は淡々と行っています。ジェノバは北アフリカに鉄製のものたち=武器や防具を輸出していたそうです。もし輸出していなかったら、相手の戦力は落ちます。しかし、ジェノバは食っていけません。ヴェネツィアばかりエコノミックアニマル的に揶揄されているような気がしていましたが、それはシェークスピアのせいなのかもしれません。

塩野さんは、人が歴史を動かすこともある。というようなことを書かれます。歴史学者ではないことをメリットとして、人を描こうとしているのだと改めて思います。上手くいったことも、その逆も、人々の奮闘ぶりが影響を及ぼすことは「まちづくり」に関わっていたのでとても分かります。システムだけでコトが為されるものではありません。使いこなせなければ負けます。システム以上の活動が為されれば、予測以上の成果を得られます。

今日から「ビザンツ帝国」(中谷功治著、中公新書)を読み始めました。「海の都の物語」はヴェネツィアから見たもの。「ローマ亡き後の地中海世界」はほぼ同様の時間の流れを地中海の中心から見たもの。と、塩野さんは書かれていますが、「ビザンツ帝国は」それをコンスタンティノープルに軸足をおいて眺めるものになるのでしょう。
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2020年09月24日

まちづくり関連本、など 1757 あてら

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「9号」

柏の本屋、ハックルベリーブックスにありました。無料です。有難いことです。千葉県大多喜町の方が発行しています。素晴らしいと思いました。この号しか知りませんが、2020年の春の時点だと思いますが9号まできています。継続は力なり。またしても、この言葉を思い出します。

この号が素敵なのは「人」を紹介しているところです。結局、まちづくりは「人」です。明日以降に向かって新たな想いを持つ人がどのくらいいるのか。ということなのだと思います。その想いの具現のひとつが、ハード整備だと感じます。ですから、「人」づくりをしながら、環境整えをしていくことが大事なのだと改めて思います。

表紙に「東京から1時間20分の田舎で暮らす」とあります。そして特集は「ここからさらに、30分」とあります。この着眼点はいいなあ、と思います。中心と周縁と言われますが、周縁にも中心があります。ヒエラルキーを話したいのではなく、自分を中心に思えば、どこでも中心が生じることになります。

次号を見かけられることを願います。

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2020年09月23日

まちづくり関連本、など 1756 塩野七生

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「ローマ亡き後の地中海世界-3」
塩野七生著、新潮文庫、2014

イスラム世界が変わります。イスラム世界をトルコが制圧します。それによって、地中海世界が変わります。変わらないのはイスラム側からの海賊行為です。しかし、それも変化しています。より高度になります。ローマ亡き後の地中海世界は副題にある通りに「海賊、そして海軍」の1000年だったようです。なんだかずっとイタリア半島は襲撃に遭っているようです。イスラム側の海賊に拉致され、何年かすると戻ってこられ、また焼き討ちにあう。そして、それが国対國。あるいは宗教対宗教の戦争に発展していきます。

何をしているのでしょう。人間は。争いが絶えないから宗教が必要なのでしょうか。宗教があるから、諍いは絶えないのでしょうか。塩野さんは「一神教の宿命」的なこと書かれています。キリストもイスラムも相手の神を批判しているのではなく、間違った道を歩んでいることを批判しているそうです。よく分からないと思うのは、自分が日本人だからでしょうか。それともアニミズム的な指向性によるものでしょうか。すべてのもの神が宿るという思いは、神の存在を微分セロにしてしまうのでしょうか。

ルネサンスとは、中世から脱却した時代と思っていましたが、それは陸地の上でのことのようです。地中海では、あいかわらず海賊が横行しています。エーゲ館世界の歴史のかなりの部分は、実は海賊の歴史であり、ヴェネツィアとトルコのせめぎあいの歴史だったのでしょう。島々にスポットライトが当たるのは海での事変が多くなるときです。それはすなわち、海賊の時代。なのかもしれません。

第4巻に向かいますが、これまでですでに地中海は多くの血を洗い流していることが分かりました。それでも鮮やかに青い海です。
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2020年09月17日

まちづくり関連本、など 1755 ル・コルビュジエ

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「小さな家」
ル・コルビュジエ著、集文社、1980

日本での出版は1980年ですが、原本が出版されたのは、1954年です。ル・コルビュジエが「小さな家」を建設したのは、1923年。完成したのは1924年だそうです。建物ができてから30年経って本にまとめたものが、さらに25年ほどして日本語に翻訳されました。1960年代に建築の学生だった方々は、この建築のことを知ってはいたでしょうが、この本に書かれている著者の思いを知ることとなったのは、中年の域に達してからのことという人が多かったのだろうと思いました。著者のファンにとっては待望のものだったでしょうか。

この本は第11版で2003年に出版されたものです。日本語版がでてからさらに25年近く経ったものを読んでいます。この本は以前に読んでいたので、今回初めて取り上げるものではないはずですが、約100年前の建築を読み返したことになります。1時間もかからずに読み終える短いものなので、読み返すには易しいものです。時折、読み返すことは大切だと改めて思いました。遅れて建築設計に取り組んでいる自分のような者にとっては、特に。何かを理解できた。というよりは、そのうち分かるかもしれない。というふうに思うようになったので、気楽です。

近代建築の五原則という大仰な言い回しをしたものを発表する直前に出来上がっていますから、五原則を練り上げるためにも、この建築は大切なものだったのでしょう。両親の家ということとともに。もしかしたら、この一軒を建てられたから、その後の人生を歩めたのかもしれません。
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2020年09月15日

まちづくり関連本、など 1754 吉本隆明

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「ひきこもれ」
吉本隆明著、SB新書、2020

元は、2002年に出版されたそうです。この新装版には、齋藤孝さんが解説を書かれています。文庫本などには解説がありますが、新書には普通はつきません。このことだけでも珍しいと思いましたが、冒頭にあります。ですから、吉本さんの話を読むより、齋藤さんの文章を先に読むことになります。面白いと思いました。斎藤さんによると、吉本さんの話は「おしゃべり」されたことが本にまとめられたようです。講演録ではなく、編集者によるインタビュー的な作り方なのだろうと思いました。

なので、読みやすいです。思いのほか、速く読んでしまいました。しかも、引きこまれるように。途中、しんどい章がありますが、そこを通り抜けて、最後の章に辿り着くと、なんだかすっきりします。この方は正直に生きることを決めた人なんだと、思いました。難しい本や詩を書く人と思っていましたが、この話を読んだことで、難しい本たちももしかしたら理解できるのかもしれない。と、思いました。本当に理解できるのかは、ともかくも。

この新書を知ったのは、東洋経済のネットのコラムです。ヨシタケシンスケさんが挿絵を描いていることと、本文が抜粋されて紹介されていたことで全部読んでみようと思いました。考え方が変化していくことを良しとし、しかしながら変化しても過去を引きずりながらのことであることを喋っています。内容によっては、キツイなあと思ったり、言い過ぎているのではないかと思ったりしますが、吉本さんが思っていることを喋っているわけですから、それを正しいと鵜呑みにする必要はありません。むしろ、そういうことを自分なりに考えることが大切なのだろうと思います。

吉本さんは歌える歌がない。と言います。独りで考え続けてきたからこそ、言えることなのだろうと思いました。僕も歌える歌がありませんが、それは信条的なものではなく、歌う鍵が見つからないからです。
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2020年09月13日

まちづくり関連本、など 1753 ヤマザキマリ とり・みき

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「プリニウス]」
ヤマザキ・マリ とり・みき著、新潮社、2020

古代ローマの博物学の大家を主人公にした漫画ですが、この巻の主人公は皇帝ネロです。ネロから離れて各地を行くプリニウスのほうがわき役的に思えます。

寝ろに対する評価が変化していることを、塩野七生の「ローマ人の物語」で知りました。キリスト教の方々にとってネロは歓迎できない人だったから、良くない面ばかりが取り立てられていたのでしょうか。ネロの人柄や行動とは別に、政治として行われたことを評価するようになってきているようです。しかし、この漫画ではネロ本人の葛藤に焦点が当たっています。

立場が人を創ると聞きます。その人を立派にさせることができたなら、それはよかったことになります。しかし、その逆もあることを、こういう物語で知ります。人も器と言うものを感じます。器をどのようにかたちづくるのか。本人次第でしょうが、本人だけで形成できるものでもありません。ネロには、別の道を歩むチャンスはあったのでしょうか。あるとすれば、分岐点はいつだったのか。

次巻からは、ネロの後の皇帝の時代となります。「ローマ人の物語」を読み返して、おさらいをしたくなります。混迷の時代だったことを、薄っすらと思い出しますが、、、
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2020年09月12日

まちづくり関連本、など 1752 塩野七生

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「ローマ亡き後の地中海世界-2」
塩野七生著、新潮文庫、2014

思いのほか、早く読み終わりました。というか、続きを読み進めたくて、他の読むべき本を投げ打っていたところもあります。「ローマ亡き後」とは、「中世」と呼ばれる時期ですが、そのときの地中海がどうなっていたかが記述されています。第1巻の主人公は「シチリア」だと思いましたが、今回は「交易の感覚と救出団体」と思いました。海賊がビジネスとなり、救出の手立てが身代金による解決となっていたことが記されていますが、十字軍とは異なる団体の活動が後半に描かれています。救出修道会と救出騎士団とありますが、武力に頼らず交渉と身代金をもって拉致されたキリスト教徒を本国に帰す活動を500年にわたり行われたそうです。500年という時間が理解の域を越えますが、中世からルネッサンスにかけての地中海は、相当に過酷な状態にあったのだろうことが分かってきます。

ここまでの話には、まだオスマン・トルコが登場していません。トルコ以前のイスラムの国々のことなのだと思いますが、ヨーロッパ大陸の歴史を読み解くならばそれほど必要がないかもしれませんが、地中海の歴史を知るとなると、キリスト教のことばかりを見つめていては分からないことが多すぎるのだろうと思います。宗教間対立という軸だけでなく、地方性、宗派、民族、文化文明の差などなどが絡み合ってこんがらがっています。

第2巻の舞台はイタリア西側の地中海の話です。ですから、イタリアだけでなく南フランス。スペイン。そして、北アフリカ。こちらの中心はチェニスとなりますが、そこで十字軍とは異なる団体が地道な活動を知ると「外交」をどのようなタイムスパンで見つめていくのか、ということも大事なのだろうと思います。おそらく日本人には、500年にわたる救出という外交感覚を理解するのは易しくないのではないかと思いました。

第3巻に入る前に、小休止として別の本を読むことにします。このまま続けるとヒートアップしそうなので。
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2020年09月11日

まちづくり関連本、など 1750 ガズレレ

「みんなで歌おう!かんたんウクレレ教室byガズ」
ガズ著、リットーミュージック、2018

https://rittor-music.co.jp/product/detail/3117217125/

7月下旬にウクレレを買いました。ウクレレには大きさの違いがあります。もっともポピュラーなものはソプラノサイズ。もっとも小さく、ウクレレを明示ずるプロポーションです。その次に大きいのがコンサートサイズ。もっとも大きいのがテナーサイズです。自分の指の太さとの兼ね合いもあり、コンサートサイズを選びました。テナーサイズは、一般の楽器店ではお目にかかることが少ないことと、高価であることが選べない要因でした。

そして、そのときに一緒に購入したのが、この本です。画期的な本です。ガズさんが、初心者でも楽しく演奏できることをコンセプトに、ここまでやってしまっていいの?と、ちゃんと演奏できる人たちは思うのかもしれないほど初心者に寄り添ったコード展開を示してくれています。おかげで、完全初心者の自分にとっては大変に有難い一冊です。

この本には50曲が収録されています。そして、各局ごとにQRコードがついています。そしてYoutubeに繋がり、それを見ながら練習ができます。この在り方は、令和的です。出版業界に新しい風を吹き込んでいるのではないかと思います。ですから、CDはついていません。昔だったらそのシートだったりしましたが。

楽譜も画期的です。一般の歌本は歌詞の上にコードが書かれますが、ガズさんはコード展開を上に書き、その下に歌詞を書きます。五線譜に音符が表現される場合は歌詞が五線譜の下に表記されます。その形式で、五線譜のところがコード展開を示すかたちで表記されています。凄いと思いました。

次は、100曲入りの本に入ります。
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2020年09月05日

まちづくり関連本、など 1749 塩野七生

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「ローマ亡き後の地中海世界-1」
塩野七生著、新潮文庫、2014

単行本は2008年に出版されたようです。この文庫本は、だいぶ前に手に入れましたが、なかなか読むに至りませんでした。これを読んでいないのに、その後の十字軍物語も手に入れていました。このたび、夏休みの課題図書的に読み始めることとなりました。

塩野さんの本でいつも感じるのは、自分にとって出だしが重い。まるで、自動車のマニュアル操作でローのまま走っているような気になってきます。しかし、やがて作品世界に浸ってくると、ギヤはセカンドへ。そして、サード。トップへと変速していきます。そのころには副題にある「海賊、そして海軍」という意味が掴めてくるように感じます。

1巻の舞台はシチリアです。行ったことがありませんが、ゴッドファーザーやニュー・シネマ・パラダイスの舞台として馴染みがあります。訪れてみるとアフリカとの近さが実感できるのかもしれません。若いころに古代ギリシアや古代ローマに親しんでいたら、ギリシアでの調査行の後にシチリア迄足を延ばしたかもしれません。

「ローマ亡き後の」地中海世界はイスラムの世界でした。シチリアがメインですから、イベリア半島のことは今のところ詳しくは描かれていませんが、個人的にはアンダルシア地方のアルハンブラ宮殿やメスキータなどが思い浮かびます。文明というものは、後から眺めなおすと面白いものに見えてきます。しかし、北アフリカから攻め入るイスラム(サラセン人たち)に略奪される日々を過ごしたキリスト教徒たちは、面白く思えるものは皆無だったのだろうと思いました。「暗黒の中世」のような言葉を聞いた記憶がありますが、その一端をまざまざと知ったように思います。

高度な文明であっても滅びてしまうと、「継続」な難しく、「マイナスからの再構築」ということになるのだと知らされます。しかし、イスラムの台頭と衰退がヨーロッパに残した果実は、どうやら相当のものだったのだろうと思うようになっています。第2巻が愉しみです。
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2020年09月04日

まちづくり関連本、など 1748 浦沢直樹

「あさドラ!4」
浦沢直樹著、小学館、2020

https://comics.shogakukan.co.jp/book?isbn=9784098607389

SFアクション×庶民の日常×スーパーガール。このように感じています。この設定が面白かったり、ついていくのが大変だったり。主人公の日常を描く場面は、なんだか寅さんの映画などを思い出します。そして「アレ」の話になると、とたんにアクションものに登場するような面々が活躍します。

こういう設定を亜米利加映画で観てみたいと思います。監督は日本人で俳優はすべてアメリカで採用。こんな設定を思い浮かべます。監督が日本字であってほしいと思うのは、寅さん的な演出は他の国の監督には難しいのではないかと思ったからです。映画化されたら?などと空想するのは、「パブリック 図書館の奇跡」という映画を観たばかりだからでしょうか。
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2020年08月21日

まちづくり関連本、など 1745 杉浦伝宗他

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「苦手克服!これで完璧!矩計図で手邸的に学ぶ住宅設計 S変」
杉浦伝宗、細谷功、長沖充、蕪木孝典、伊藤茉莉子、杉本龍彦共著、オーム社、2017

どうも、鉄骨造が苦手です。生理的に合わないのかもしれないと思うほど、うまく理解できません。たぶん、S造の面白さを経験していないからだと思います。設計事務所に勤めていた時に鉄骨を扱っていたので、まったく経験がないわけではありません。しかし、あのときはRC造が主体で、そおんれに付随するものというイメージが強かったかもしれません。

いずれにせよ、自分なりに克服しなければならないと思い、この本に辿り着きました。これまで幾つかのS造指南書を手に入れましたが、自分にとってはこれが合うようです。これまでの本があったからこそ、これを読み解けるようになったのかもしれません。

木造だと、基本は柱心で押さえます。RC造は壁芯となりますが柱と一体化するので、セットで考えることで柱心を押さえないことに違和感を持たなくなりました。S造も壁芯押さえですが。外壁の材料を先に決めなければならないこと、自分は嫌がっているようです。外壁の選択と割付によって柱の位置が班かします。そういうところに慣れないのかもしれません。とにかく、決めつけていかなければなりませんが、外壁選びが難儀です。

S造でイケる。と思える状況にならないと、ずっと、モヤモヤするのでしょう。省エネ基準なども考えて、自分なりのやり方を整えなければなりません。ですから、この類の本は「読み終わる」ということはなく、ずっと開き続けるのだと思います。
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2020年08月20日

まちづくり関連本、など 1744 長縄えい子

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「お釈迦様ってどんな人」
長縄えい子画、花井山 大洞院、2020

長縄さんが大洞院に、平成30年に寄進された絵だそうです。その絵に長縄さんが解説文を付けたものだそうです。お寺では、高いところに飾ってあるそうで、先日の柏市民ギャラリーでの展示で目の前で観られたことは幸運だったそうです。

長縄さんの絵は愉しいです。思わず、笑いが浮かびます。なんだかファンキーに思う時もあります。こういうものが「絵」なのだろうと思います。「お釈迦様ってどんな人」と尋ねられたら、これを渡したいと思います、、、が、1冊しかもらわなかったので、見せるだけとなります。

お釈迦様は80歳で亡くなったそうです。そう思うと、父も義父もお釈迦様の年齢を越えましたから、まずはよかったのかもしれません。何がよいのかはともかく。
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2020年08月19日

まちづくり関連本、など 1743 皆川明・谷川俊太郎

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「はいくないきもの」
皆川明・絵、谷川俊太郎・文、クレヨンハウス、2015

先日、NHKのEテレの番組「日曜美術館」で皆川明の展覧会が紹介されました。そのときに、この絵本も紹介されました。そうしたら家に出現しましたので、読んでみました。皆川さんが絵を描き、それに谷川さんが文を添えたそうです。この絵を見て俳句形式に辿り着いたとのことですが、個人的な印象ですみませんが、少しハナモゲラです。しかし、完全ハナモゲラではないので、表紙に「あかちゃんに贈る」とシールが貼られていますが、あかちゃんにどのくらいウケるかは分かりません。自分は、もはや当事者ではないので。

へんなものは、描こうと思って描けるものではありません。とくに、皆川さんのようにファッションデザイナーである人にとっては、なおさらのことではないでしょうか。建築の設計を行う人々にはスケッチがものすごく上手い人が多くいます。しかし、その方々が、皆川さんのような絵を描けるとは思いません。これは、凄いことだろうと思います。

もし、自分が皆川さんのような絵を描けないのであれば、まとな人間になってしまっているのかもしれません。「まともな人間にだけはなるな」と、父の遺言になかったことが幸いです。しかし、詰まらない人間であることは、変わりありません。
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2020年08月18日

まちづくり関連本、など 1742 槇文彦

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「アーバニズムのいま」
槇文彦著、鹿島出版会、2020

SD選書から出ました。「見えがくれする都市」が発行されたのが1980年。2020という節目に出されたのは、先の本の続編的な意味合いを持っているのでしょうか。これまでに読んだのことある内容を再整理されているような気がしました。個人的には、ハンディであることが有難いです。

アーバニズムを語る建築家が今後増えていくのでしょうか。それとも分業化がより進むのでしょうか。21世紀は社会が整い過ぎましたから、都市をなんとかするスケールの仕事の在り方が著名な建築家の思想に基づくようなかたちでは進みにくいことを改めて感じました。それでは、これからの都市整備についての言説は、大手設計事務所や建設会社、またはコンサルタントが担っていくのでしょうか。

この本を買った後に、知り合いからル・コルビュジエの「ユルバニスム」を頂きました。こちらもSD選書ですが、こちらから読みました。100年前の都市デザインの考え方のひとつを感じ取った上で、「アーバニズムのいま」を読んでみるのがよいだろうと思ったわけです。槙さんが語る「いま」は50年の年月が記されているので、都市について考えていきたい人にとっては、この本は大事な1冊になるのではないかと思いました。少なくとも自分にとっては、手元に置いておきたいもののひとつとなりました。

「見えがくれする都市」を再読すると、さらに「いま」が掴めるかもしれません。
posted by KAZZ Satoh at 11:05| Comment(0) | 関連モノ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする